スポーツクラブ専門の広告代理店が教える集客のブログ

<エリアマーケティング上級編>スポーツクラブの“理想の商圏”を知る方法

みなさん、こんにちは。スポーツクラブ、ジム、ヨガスクールなどフィットネスクラブ専門の広告代理店・マーケティングデザインの細野です。

前回、「<エリアマーケティング中級編>自社の強みと“集客力ポイント”をライバル店と比較する方法」として、自社とライバル店の魅力の違いの考え方をお伝えいたしました。

しかし、前回の情報では、地域ビジネスの集客をする上で最も大切な「距離」の概念が入っていませんでした。今回はエリアマーケティングの上級編として、ライバル店の集客力ポイントと商圏を考慮して、自社の“理想の商圏”を導き出します。

その結果、予算的にも時間的にも無駄のない広告展開ができるようになり、効率よく集客の目標に近づきます。

スポーツクラブをはじめ、学習塾、不動産販売、整体院、エステサロン、美容室など地域ビジネスをされている方にも応用できる考え方です!

 
==エリアマーケティング目次==========

1回目 <エリアマーケティング初級編>国勢調査から“集客の現状”を知る3つの方法

2回目 <エリアマーケティング中級編>自社の強みと“集客力ポイント”をライバル店と比較する方法

3回目 <エリアマーケティング上級編>スポーツクラブの“理想の商圏”を知る方法 ←今回

4回目 <エリアマーケティング応用編>理想の商圏で一番効果的な広告活動をするために

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それでは今回もはじめましょう!

~この記事は、SPORTEC 2015で開催した集客目標達成の為の戦略的エリアマーケティングというセミナー内容をもとに、Web用に再編集してお届けしています~

 

ご存じですか?スポーツクラブの競合店は続々と増えています!

突然ですが、「自社の商圏を考えたとしても、ライバル店があるんだから、その関係性を考えないと“本当の商圏”が見えてこないんじゃないの?」と考えることはありませんか?

この質問は、実はどこのスポーツクラブからも多く寄せられることで、悩んでいる方がとても多いのが現状です。

まず、どうして“ライバル店の存在”を考慮しなくてはいけないのでしょうか?

根本的な話になりますが、スポーツクラブに通う人口は横ばいにも関わらず、しかし競合店は増え続けている、という厳しい現状がございます・・・。

スポーツクラブの数は、今や日本国内で4000軒以上もあるんです!!

このグラフは大型のフィットネスクラブをはじめ、ヨガスタジオ、ダンススクール、マンションでやっているパーソナルトレーニングジムなど、一般的に「スポーツクラブ」と呼ばれている業種をまとめて計算した数字になります。年々、右肩上がりで出店件数は増えているのが分かりますね。

それからもう一枚、日本地図にスポーツクラブをプロットしてみました。

首都圏にクローズアップすると地図が見えなくなるほど点在しているのが分かりますね・・・。

しかし、スポーツクラブの数が増えている現状に対して、参加率というのは比例していないという事実がございます。言い替えると、フィットネスクラブ人口は横ばいに対して、競合店は増え続けているのです。

ですので、集客に関して競合店の存在は忘れてはいけない存在です。また、競合がいる限り、自社の商圏内からバランスよく集客するのは不可能だといえるでしょう。

ハフモデルを使って“理想の商圏”を導き出す

そこで紹介したいのは「ハフモデル」の考え方です。

ハフモデルは、非常に分かりやすいエリアマーケティングの考えかたのひとつになるので、ご紹介いたします。

ハフモデルとは、1960年代に、米国の経済学者であるDavid Huffが作成したモデルで、ある店舗に消費者が買い物に出かける確率を、他の店舗との競合状況を考慮しながら予測するものです。消費者は、近くにある大きな店舗へ行くという一般的な傾向を前提にしており、ある店舗を選択する確率を、店舗の売場面積に比例し、そこまでの距離に反比例するとしています。
(「JMR生活総合研究所マーケティングサイト」より引用)

ハフモデルというのは、消費者が「消費者が商品を購入する際に示す行動」を数値化するモデル式です。

当然と言えば当然なのですが、「消費者は距離が近ければ近いほど行きやすくなるが、遠くても大きな店舗の方に足を運ぶ。」という消費者の行動を分かりやすく数字で示しています。

具体的に説明すると・・・、近年、イオンモールなど郊外にある大きなショッピングモールが目立つようになりました。食品はもちろん、映画館、ファッション、雑貨、レストラン・・と、複合的なお店が入った広い売り場面積を誇るショッピングモールをイメージしてみてください。

「よく街から離れた場所に建てるなぁ・・・。集客できるのかなぁ・・・」と思っても、実際に開店したら駐車場いっぱいになるほどの車が停まっていて、毎日にぎわっていた。そんな経験はありませんか?

この郊外型のショッピングモールを作るときも、先ほど説明した「ハフモデル」によって導き出される「集客できる見込み数=吸引率」をもとに、計画を進めているそうです。

「消費者は距離が近ければ近いほど行きやすくなるが、遠くても大きな店舗の方に足を運ぶ。」まさにイオンモールですね。近くにあることに越したことはないのですが、自宅からの距離があってもわざわざ行ってみてくなる魅力があります。

この消費者の行動を数字にすると、少し難しいのですが、以下のような数式で表すことができます。

このように、ハフモデルという数式に当てはめて考えていくと、距離の概念だけでなく施設面積も含めた概念を考慮できるのです。

ハフモデルを使うと、ライバル店の商圏も見える化できます!

ハフモデルは自社の商圏を考えるだけではなく、競合店の集客エリアも分かってしまうという点に注目していただきたいです。

競合店の商圏が浮き彫りになるので、近隣の競合店がどれくらい自社の集客に影響するかを可視化してくれるというところが、ハフモデルの素晴らしいところです。

ライバル店の商圏が見えるようになると、町丁目ごとに何名ずつ集客できるのか、達成するためにはどこから何名集客するのが良いのかという詳細な目標設定が可能になるということです。

施設面積だけでは足りない。お店の“集客力ポイント”を考える

ハフモデルを使うことで、距離と施設面積の概念だけで自社とライバル店の商圏を分析することができました。

ところが、スポーツクラブはというと距離の概念は選ばれる理由のひとつだけにすぎず、もっと複合的な観点で考えることが必要だと思います。

例えば、カーブスさんや24時間フィットネスさん、バジェットクラブさんも施設面積以外の部分で魅力を感じる人が多く好調なのだと思います。

決して、施設面積が大きい店舗だとは言えませんよね。

そこで、前回紹介した「集客力ポイント」を計測しましょう。距離と施設面積の概念だけでなく「集客力ポイント」を考えることも大切なのです。

「集客力ポイント」の計測方法はコチラ>>  <エリアマーケティング中級編>スポーツクラブの“集客力ポイント”をライバル店と比較する方法

スポーツクラブ・フィットネス・ヨガ・水泳・ゴルブ教室などの場合は、1:コストパフォーマンス 2:施設の新しさ(築年数) 3:プログラム数 4:営業時間 5:料金プラン数が選ばれる基準になっているデータがありますので、消費者の購買行動に基づいた「集客力ポイント」を考えます。

ハフモデルと集客力ポイントを使ってできること

前回紹介した「集客力ポイント」を取り入れてハフモデルに当てはめて計算することで、より詳細な目標値を設定することができます。

このように他社の情報を加味して、より具体的な集客目標を立てることができます。

細かく数字に落とし込みますと、もう十分に集客できているというエリアも見えてきますし、まだまだしていかないといけないエリアというのが一目瞭然になりますので、集客の戦略が立てやすくなります。


いかがでしたでしょうか?

ハフモデルと、前回お伝えした集客力ポイントを使うことで、自社の現状と目標値が導き出されるエリアマーケティグについてお話しました。

数字が出てくると難しく感じてしまう方がいらっしゃると思いますが、実はソフトを使えば簡単にできてしまう内容なんです。

このエリアマーケティングをすることで、自社からの同心円状効率のマップでは見えてこない、“理想の商圏”が見えてきます!

では理想の商圏がみえてきたらどうするのか―――。次回は、エリアマーケティングの最終回。どのように広告展開をしていくのか具体例を紹介します。次回もご期待ください!(細野)